令和2年4月からあゆみの丘の施設長になりました、井上と申します。14年の長きにわたり当園の指揮を執られた前施設長の白土先生には及ぶべくもありませんが、ただただ一生けん命、誠心誠意務めさせていただきますので、みなさまのお力添えをお願いいたします。

 さて、私は前職では非行系児童福祉施設に勤めておりました。そこでは「WITHの精神」を胸に、施設に住み込み子どもと寝食を共にし、共に働き、共に学ぶこと、つまりは子どもと共に在ることに徹底的にこだわってきました。私はその経験から、対人援助職の基本的態度となる「共感」は、子どもと職員が共通体験という共通分母を持ち、その上に共通感覚や共通感情が育まれ、それがひいては「共感」に昇華するのだと考えています。
 
 例えば私たち職員は、子どもたちが外出時に感じる、駅前の灯りの眩しさや人混みに胸躍る気持ちを感じとれているでしょうか。または家族と離れるさみしさ、施設生活を余儀なくされるやるせない気持ちに想いが及んでいるでしょうか。それらを子どもと同じレベルで感じることができないにしても、共通分母を増やす努力と工夫は続けなければなりません。働き方改革下の労務管理が時間的な制約として子どもと職員の距離を広げはするものの、時間内であってもできることはまだたくさんあると考えます。
 
 まずは、私自身ができるだけデスクから離れ子どもたちに会い、生のことばとふれあいの接面から得られる「肌感覚」を大切にして施設運営を行っていきたいと考えています。

 みなさまには、未熟者の新施設長へのご指導をお願いするとともに、当園への温かいご支援を引き続きお願い申し上げます。

令和2年4月
施設長 井上健介