『長生きできるわぁ』『幸せな人やなぁ』・・・言うまでもなく、これらは決してほめ言葉ではありません。『能天気』だとか『極楽(気楽)トンボ』といった意味を、直截的な表現を避けて言ったまでのことで、遠回しの貶(けな)し言葉です。

よしんば、そんな悪口、陰口を叩かれ、貶し、扱き下ろされたとしても、その人は、やっぱり、その言葉通り「幸せな人」だと思うのですが、どうでしょう。

ある書物に『大きな不幸や災難を小さく、小さな喜びを大きく受けとめる。・・・それが人間の知恵というものです。』とありました。『笑う門には福来る』『泣いて生きるも一生、笑って生きるも一生』なんて言葉もありますね。

同じような不幸な出来事でも、一人ひとり事情や環境が異なるので、受けとめ方に大きな差が生じるのは当然です。たとえば、“慰め”や“励まし”も、時には逆効果をもたらしたりもするので、安易な声掛けは慎まねばなりません。

とくに、“大丈夫、大丈夫!”と、引き受けられるはずもない「安請け合い」は、いちばんの罪だと心得るべきでしょう。