イギリス人は天気の話ばかりしているといいます。私の場合はというと、農作物を育てているので、毎日天気を気にしています。
雨は嫌なものですが、こと農作物に関していうと、恵みの雨になります。降りすぎるのは困ったものですが、今年の梅雨は雨が少ないので、今日の雨はうれしい雨でした。雨好きなサトイモがよく育つはずです。
写真:雨露にぬれるサトイモの葉
今日はこの恵みの雨に関連して、ほっこりしたことがありました。
窓を開けて雨音を聴きながらキーボードを叩いていると、どこからか「雨雨ふれふれ かあさんが じゃのめで おむかえ うれしな~」と かわいい歌声が聞こえてきました。
姿は見えませんでしたが、「ぴちぴち ちゃぷちゃぷ ランランラン~」のところでは、水たまりではしゃいでいる様子が想像できました。「君は天使か!?」と言いたくなるほどのかわいさでした。
きっと誰もが聴いたことがあるこの歌、でも知らない言葉があります。ちょっと調べてみました。「じゃのめ」って?
どうやら「蛇の目模様の傘」のようです。今時ないですね。これも調べて知ったことですが、北原白秋が大正時代に作詞した童謡でした。まだ人びとが和服を着て生活していた時代でしょうか。
急な雨にお母さんが傘を届けに来てくれたストーリーを想像しました。これはうれしいですね。でも今は、ランドセルにコンパクトに収納できる傘や雨合羽があるし、お父さんもお母さんも仕事をしていたら、なかなか傘を届けに行けませんよね。それに今時の学校には貸し出し用の傘がありそうです。当時と今とでは、天気予報の精度に進歩もあるし、現代では傘を届けられるシチュエーションは少ないかもしれません。
このように、現代社会では便利さは格段に向上しています。では、この歌に見られるような親が子を想う気持ちは失われたのでしょうか?いいえ、別の形になってあるのだと思います。それは古くからある愛情表出の形態と混然となっており、何げない行為ゆえに気づかれていないことなのかもしれません。
例えば、子どもの靴に前もって防水スプレーをかけてあげるとか、除湿に使うエアコンのフィルターをこまめにきれいにするとか、替えの靴下を持たすとか、晴れた日に濡れた傘を広げて乾かしておくとか、室内干しに適した洗濯洗剤を選ぶとか。
昔と違って機械や化学物質が介在するため粋な表現にはならないけども、現代は現代で、いろいろな愛情の表出がありそうです。
あゆみの丘では古典的な愛情表出だけでなく、現代の愛情表出についても研究をすすめ、最大限に活用していきたいです。
写真:タイマッサージの師匠からもらって畑に植えたバナナ(今は腰くらいの高さ)
施設長 いのうえ
※7月5日追記:7月3日の大雨を受けて静岡県熱海市で甚大な被害が生じました。被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。