ジブリアニメの「風立ちぬ」が評判になっています。『ゼロ戦(零型戦闘機)』を作り上げた堀越二郎の半生記に、闘病の妻の生と死を描いた堀辰雄の「風立ちぬ」や「菜穂子」といった作品を無理やりかぶせたストーリーです。

「風立つ」は、秋の季語で、秋の初め、涼やかな風が吹き始める様子を言うようです。「ぬ」は、文語体の完了形…つまり、“風が立ってしまった”ということになります。

フランスの詩人ヴァレリーの長い長い詩の一行 “風が吹いてきた。さあ、生きなくてはならない!” というフレーズを、堀辰雄は、『風立ちぬ いざ生きめやも』と独自の訳をしたわけです。高校の国語の教科書に、堀辰雄の『大和路・信濃路』から抜いたものが載っていて、以来、はまり込んでしまった私は、ほとんどの作品を読破しました。

堀辰雄親衛隊の一人とすれば、好ましからざる映画なので、封切当日、早速チェックに行ってきました。

う~む、まっ、「ジブリさすがの色づかい」に免じて勘弁してあげることにしましょうか。

7日は「立秋」…風が立つまでには、まだまだ厳しい残暑の日々が続きそうです。