いま、アサヒビール大山崎山荘美術館で、「うつわに跳ねる動物たち」という、愉しそうな展覧会が開かれています。英国人でありながら、日本の民藝運動に大きな役割を果たした陶芸家 バーナード・リーチの作品展です。
民藝…といえば、第一に名前が挙げられるのが、益子の濱田庄司でしょう。生涯に10万点もの作品をつくったといわれていて、生活に根ざした健やかで堅実な作品の数々は、いまも多くの人々を魅了してやみません。
その濱田のエピソードや言葉に、ちょっと面白いものがあるので、紹介します。
あるとき、彼の仕事場を訪れた一人が、絵付け作業の様子を見ていて、『15秒ほどもかかっていない』と不満げに口走りました。それを耳にした濱田は、こう返したそうです。「いまの絵付けにかけた時間は、ほんの15秒かもしれませんが、それを、15秒プラス60年と思ってください」
また、ある文章のなかで、後進に贈る一言として、こんなことも言っています。
「枝ぶりや花の見事さで勝負するよりも、“根”で勝負してほしい」
私たちの仕事は、決して派手な見栄えのするようなものではありません。「援助」や「支援」と呼ぶように、自分たちが前面に出るというより、お芝居のクロ子のような存在の部分が大きいかと思います。“根で勝負”ができる仕事人として、支援・援助の一コマひとコマで、これが「**秒プラス○○年」の仕事ぶり…と胸を張れるようになりたいものです。