テニスの四大大会の一つ、ウインブルドン大会が開催されています。注目はもちろん錦織圭選手でしょうが、私は、彼よりもクルム伊達(公子)選手に期待を寄せています。
長いブランクも感じさせず、アラフォーで尚もこれほどの活躍…ということもありますが、それとは別に、十数年前、彼女がいったん現役を引退した後、あるテレビ番組で小学生を相手にレッスンをしているのを視た記憶が強烈に残っていて、それ以来ファンになってしまったのです。
その時の模様はこうです。まず基礎レッスンは、ラケットの中央でしっかりボールを捕えるように、面を真上に向け空中でボールをつくという練習で、まずは10回続けることが課せられました。一見簡単そうですが、小学生には難しかったようで、ほとんど課題達成できないまま次のレッスンへと移りました。
レッスン2はラケットの両面を交互に使って、同じように空中でつくというものでした。基礎レッスンですら満足にできなかった子どもたちにはあまりに高い課題で、案の定、できる子でも2-3回も続けばいい程度の状態でした。子どもたちのなかには、嫌気がさした様子や、ダレた動作もちらほら見受けられるようになってきました。
それでも伊達さんは、気に留める様子もなく、『じゃぁ、次』と、レッスン3に進めます。指示されたのは意外なことに、基礎レッスンとまったく同じメニューでした。多くの子どもは、今度は7回8回楽々と続け、20を数える子も出てきたのです。
魅力的な笑顔の伊達さんから出た言葉は「一度難しいことをやったから、易しく感じるんでしょう」。このコーチ術って、行動科学? 学習理論?