《一般に失敗を総じて悪いものと決めつけがちだが、失敗には「いい失敗」と「悪い失敗」とがある。》
今のところ決定的な治療薬がなく、悪くすると失明に至る厄介な眼疾「緑内障」の原因遺伝子『ミオシリン』を発見され、世界的な先端医療と創薬の研究開発に携わっておられるK氏は、失敗というものについてこう語っておられます。
たとえば、薬の臨床試験において、結果として“効かない”という事実が検証されれば、それはそれで価値ある失敗であって、この際での最悪の失敗は、効果や副作用の“検証ができなかった”という場合だと。
一つひとつの物事を進めていくとき、何とはなしに漫然とコトを運んでいたら、何が効果的で、良かったのか? また、何がもう一つ効き目がなく、むしろ悪かったのか? といったことを見定めることができないわけです。
“エビデンス”が問われることの多い昨今、「いい失敗」の積み重ねこそが大切なのだ!と思わされます。
K氏はまた、《失敗で問われるのが『検証』であるなら、成功で問わねばならないのは『犠牲の多少』である》とも言っておられます。成功の陰には、必ず傷ついた人がいる!これまた、重々心すべき意味深い言葉だと受け止めました。