学生のみなさんへ
〇結論から述べます
子どもの施設で働くことを選択肢に入れてみてはどうでしょうか?
私たちの仕事は、10年後も、100年後も(たぶん)、AIやロボットに奪われない仕事です!
子どもを相手にする仕事の喜びや、苦労を経た上でのやりがいは、私などが語るべくもないでしょう。ですので今日はちょっと違った角度から、私たちの仕事について考えてみたいと思います。
上記の結論を言いかえると、私たちの仕事はおススメで、将来性があるということです。本当です。
なぜそう言えるのか?以下の文章を読んでみてください。
〇ロボットに奪われる仕事
2013年にオックスフォード大学から出された論文『雇用の未来』では、「将来ロボットに奪われる仕事・奪われない仕事」がリスト化されました。
2年後に、その日本版を発表した野村総合研究所によると、「日本の労働人口の49%が人口知能やロボット等で代替可能に」なるということでした。
当時の私は「へえー」「そうなんだー」と思っただけで、まるで他人事でした。しかしながら、最近の私は、その「予言」の成就が近いことを日々、肌で感じています。未来はそこまで来ています。
写真:映画『AKIRA』(1988年公開)
※ 私にとって、未来の風景といえばこの映画がまず思い浮かびます。舞台は2019年「ネオ東京」。公開当時「未来」であったことが、2021年の今から見ると「過去」になりました。「未来」を追い越す感覚は不思議なものです。
〇身近で進む機械化・自動化
私が子どものころ、駅の改札は機械(自動改札機)ではありませんでした。改札を通過する際、切符を駅員さんに手渡ししたものです。今やカードをかざすだけで改札を通れますので、駅員さんだけでなく、切符すら必要なくなってきています。
駅を出て某コンビニチェーン店に行くと、「レジ」に店員さんはいるのですが、支払いは機械にお金を入れるようになっていました。まあ、ずいぶん前から立ち食いソバ屋さんなんかには券売機はあったし、なぜもっと早くしなかったんだろう、と思った程度でした。
まだ人は必要なんだと思っていたところ、陳列棚に商品を並べるロボットが実証試験中だとのニュースが流れました。そういえば、海外では無人店舗「AMAZON GO」が実用化されているとかいないとか。それにAMAZONを引き合いに出すまでもなく、「セルフ」のガソリンスタンドを好んで使う自分に気づきました。料金が安いので。省労働者・無人化はすでに生活のそこここに見つけられるのでした。
自動車は、自動運転技術を各社が競って研究していますし、近い将来、タクシーは無人化、流通でも1台の有人トラックの後ろを数台の無人トラックが前の車両を自動検知して追随して走るようになるそうです。給油(給電)もロボット掃除機みたく、機械が自律的に判断してガソリンスタンドに寄るようになるのでしょうか。
まだまだあります。
先週末、某チェーン洋服店に行くと、店員さんがワンオペで切り盛りしていました。閉店まで間もない時間だったからか、たまたま人手不足の日だったからか、理由はわかりませんが、その店員さんの仕事を観察してみると、試着室とセルフレジを行き来してお客さんにアドバイスをすることのようでした。そう、レジは無人化されており、買い物カゴを所定の位置に置くだけで商品と数を判別し、合計金額も自動で示されました。
何が起こっているかというと、効率化と合理化が、機械とコンピューターによって、確実に進められているということです。人の仕事はというと、自動改札機につまった切符を取り除いたり、無人レジに慣れない客にアドバイスをしたりすることです。消費者にとっては便利で割安に商品やサービスが手に入るので嬉しいですが、労働者が楽になったかというと違います。かつていたはずの労働者の一部は、機械のサポートに従事するようになったか、仕事を失ったのです。働かずに収入を得るのは、投資家に限られるので、大多数の人は仕事からの解放=無職・無収入になるのです。
このような状況は今後、IotとAIの進歩によって加速度的に進むでしょう。ここ数年、商業場面以外にも、コロナ禍の影響で変化は起きています。
〇教育現場でも
まず学校でタブレットを通した授業や学習が行われるようになりました。塾では前からしているところはあったかもしれませんが、公立の小中学校でもあたり前の取組みになりました。もちろん学校で学ぶのは教科学習だけではなく、友人との関係の取り方など、複雑かつ多岐に渡るので、タブレットが学校の先生に完全に取って代わることはありえないでしょう。
しかし上記の野村総合研究所の「生き残る仕事リスト」には、小中学校の教員は挙げられていても、大学教員は挙げられていません。確かに、100人規模で学生が集まる人気教授の講義なんかは、どのみち質問はできないので、録画授業やタブレットでも同じだと思いました。
〇私たちの仕事はどうなる?
もったいぶって、ここまで延ばしてしまいました。ここからが重要です。集中して読んでください。
野村総合研究所によると、私たちの仕事にあたる「保育士」、「社会福祉施設指導員」、「カウンセラー」は、ロボットに置き換えられません!!
研究を持ち出すまでもなく、「洗う」ということを考えてみるだけでもわかります。車は洗車機でいいですし、一部の高齢者は羞恥心から、生身の人である介護士よりも、機械で体を洗われるのを好むかもしれません。でも幼い子どもが機械に体を洗われていいですか?
またはコロナ禍で広がった「非接触式検温器」、顔面を映し出すだけで検温されるアレはどうでしょう。脇に挟む水銀式の体温計は時間がかかりますものね。それどころか、予測式のデジタル体温計すら面倒になり、おでこにかざすだけの非接触式のガンタイプの検温器になり、それでも人手を省くために、設置式のセルフサービスの機械になりました。
一方で私たちの仕事は、正確な体温を測り子どもの健康管理と維持をすることも重要ですが、忘れられてはならないのは、生身の手を子どものおでこにあてて、その子どものことを心配していること、大切に想っていることを言葉だけでなく、態度で伝えることです!これはロボットにはできないことです。
それゆえ、私たちの仕事は強いです。将来性があります。
このような視点から、子ども福祉の仕事をあなたの職業の選択肢として考えてほしいのです。今も昔も将来も、子どもの尊さが損なわれることはありませんし、人にとって仕事は大切なものなのですから。
「一生のうちで一番大切なことは、職業の選択である」
(パスカル、『パンセ』より)
施設長 いのうえ
追記:当法人では、学生さんだけではなく、社会人経験者も採用しています!